サント・ボームのマグダラのマリア(2) -ケルトの聖なる森 -

サント・ボームのマグダラのマリア(2) -ケルトの聖なる森 -


サント・ボームのマグダラのマリア(1) -宿- からの続き)


2010年7月13日
La Sainte-Baume サント・ボーム山に登る。
St-Maximin の教会を見学し、Gémenosジェムノのホテルへ。


修道院の宿舎で、夕食で隣り合わせた人たちは、とても意地悪だった。
東洋人のわたしたち二人を除き、フランス各地から来ているグループで、
話しかけるも無視された。
なぜ貴方たちみたいな東洋人がいるのかしら?

わたしの被害者意識が何倍にも大きく感じさせてのかもしれないが、
3年住んだパリでさえ、こんな意地悪な人にあったことはない。
わたしが同じキリスト教者だとしても、肌の色や宗派で判断するその人たちが
残念に思えてならなかった。

わたしたちは何かを試されている?
この旅を始めてから、ずっと天国と地獄を交互に味わっている。

でも、わたしの心は意外にも静かでした。

部屋に戻り、シャワーを浴び、窓からサント・ボームの山を眺めました。
わたしの心の奥から、静かで小さな声がしました。


         信仰って、何だろう?



サントボーム山塊ズーム
Le 13 Juillet 2010* La Sainte-Baume*Photos by RESONANCE



翌朝6時に起床。
修道院の宿舎の朝食は、8時30分から食堂が開き、
日本のホテルのように早くはありません。
朝食を採る前に、労働と祈りの時間があるからでしょう。

この後の予定のため、朝食を採らずに登山することを決め、
荷物を部屋に置いたままリュックをかついで登山に出ました。
朝食を採らずに登山だなんて、常識的ではないのですが・・。
非常時のシリアルバーとお水があればなんとかなるサ、という考えです。

朝の山の空気は澄んでいて、おいしい空気が朝食代わりでした。



朝



修道院の横に簡素なカフェと駐車場があって、
その脇にサント・ボームへの登山口があります。

広場まで出ると、山の全景が見えてくるのですが、
それにしても、あの白い山の頂上に、どうやって登るのだろう?
裾野には深い森が広がっていました。

サント・ボーム山塊は、洞窟や森林も含めて、サント・ボームと呼ばれています。
Baume は、プロヴァンス語のBaoumo=洞窟から由来して、
マグダラのマリアがこの山の洞窟に隠棲したことから呼ばれたそうです。



広場



この山塊は、プロヴァンスの小山脈の中ではもっとも広く、もっとも高い山。
一番高いところの標高は1147m、稜線は東西に横たわっています。

南斜面はゆるやかな斜面で、荒涼とした岩肌がむき出しになっているのに対して、
マグダラのマリアの洞窟がある北斜面は、高さ300mの垂直の断崖。
遥か下方に、こんもりとした森林が広がっています。

白い石灰質の岩肌は典型的なプロヴァンス地方の容姿ですが、
サント・ボームを特異な場所にしているのは、緑深い森林。

この大きな壁のような断崖が、南からの太陽の光を遮って森林に影を落とし、
冷気と湿気が保たれて、北フランスのような植生も混在しています。
フランス国有林に指定されている森林地帯は、およそ120ヘクタールあり、
伐採が禁じられているおかげで、古代からの植物たちの命が生かされています。



パノー1


森に入るとすぐ標識がありました。

Chemin des Roys シュマン デ ロワ 王たちの道
Chemin du Canapé シュマン ドュ カナペ 長椅子の道

どちらも洞窟に行くことができます。



道順400


わたしたちは王たちの道を選び、
東からの太陽の光に向かって歩きました。


王の道


フランス王家の白ゆりの紋章が、道の所々にあり、
王たちの道の目印になっています。

歴代のフランス国王たちが、マグダラのマリアの洞窟を詣でたといいます。
1世紀初頭からサント・ボームは巡礼地となり、5世紀頃から国王や僧侶、
巡礼者のために道が整備されました。

マルセイユで立ち寄った、あのサン・ヴィクトール修道院の創始者が、
この地の整備にあたったそうです。

そんな2,000年近くも前から存在する道を歩いているなんて、不思議でした。



山道1


いえ、もっと古く・・。
マグダラのマリアが訪れるずっと前、まだガリアと呼ばれた時代には、
この土地一帯の名を、ケルト民族の英雄とされたGarganos ガルガノスの名を取って、
Garage ガラージュと呼ばれていました。

この森は、ケルト人の神聖な森だったのです。
畏敬の森とされる伝承が、数多く残されているといいます。



白い木



裾野に広がる巨大なブナの木は、
プロヴァンスならではの古代の森の名残を感じさせ、
その中に菩提樹やかえでが混ざり合います。



噴水


途中、湧水の泉がありました。なんてきれいな泉でしょう!

La Source de Nans ラ ソース ド ナン 聖なる泉と書かれていました。

Nans ナンは、”聖なる”を表すケルト語です。
このあたりの村の名前にNans がつくところが多く、やはりケルトをしのばせます。

湧き水の冷たさは、夏の登山者の救いです。
ここで少し腰を下ろして休みました。

もう1時間ほど歩いたでしょうか?



木々のささやき



頭上高く、光に向かって空に大きく伸びる枝葉。
木々が織りなす緑のアーケードの中を無心で歩きました。

緑の風に吹かれ、肌に触れる光を感じ、鳥たちの鳴き声を聴きながら。

時折すれ違う登山者に挨拶をかわし、
その他は、自分と向き合うように何も話さず、
ただ瞑想的にこの美しさの中を歩きました。

それは、なんとも言えず幸せでした。



灯籠



しばらくすると、急に強い光がやってきました。

緑のアーケードを抜けて、視界が広がった先に小さな礼拝塔があり、
ここから聖域であることを示していました。

この時だけ、こんな紫色に映ったのが不思議です。

今まではなだらかに感じた山道も、急な坂や、
ごろごろとした岩だらけの道になっていきました。



灯籠2



礼拝塔のレリーフは、十字架上のキリストと
足元のマグダラのマリアが描かれていました。

マグダラのマリアの洞窟まであと一息です。



サイレンスG



lieu de silence リュー ド シランス 静粛な場所。


わたしたちは、さらに静寂の中へと
歩みを進めてゆきました。








* ~ * Chaptre 7 Continuer 続く * ~*



テーマ:旅行記 - ジャンル:旅行

2015.09.13 | マリア巡礼

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Author:mariaikuko
青山マリアいく子の
「祈りとアートの巡礼記」にご訪問下さりありがとうございます。
導かれるような旅の不思議について書きたいと思いました。
旅で出会った出来事、美しいもの、心の目が見たものを綴っています。
皆さまの旅も、実り豊かなもので
ありますように。

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