ロカマドールの黒マリア(3)黒い聖母

ロカマドール第3話 - 黒い聖母 -  

第2話 - 聖都 - からの続き)


巡礼団の人の流れのままに、いつのまにかわたしたちは、
黒マリアさまが祀られている奇跡の礼拝堂のミサに参列していました。

西側の岩が壁になっており、岩の空洞の中に礼拝堂があるといった感じです。



壁
Le 9 Juillet 2010 *Dans la chapelle miraculeuse *Photo by RESONANCE



ミサが始まる前にキャンドルを灯します。

礼拝堂はほの暗く、厳かでした。
照明は参列者のキャンドルと、ステンドグラスから差し込む光、
黒い聖母像を護るかのような、四人の天使が持つトーチの灯りだけでした。


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会いたかった黒マリアさまは、静けさの波の中に鎮座しておられました。

なんと神秘的な佇まいでしょう!
中央正面に、幼児イエスを膝の上に抱き、玉座に座った黒い聖母像。
木製で小さな、けれど漆黒の光の奥に、慈悲深さを感じるマリアさまです。


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この写真では、あまりに遠くて見えませんが、金の冠をかぶり、
服の襟ぐりと長い上着の手首には、金製の精妙に描かれた唐草模様で飾られています。
昔は、像は銀の薄片で覆われていたといいます。

そもそも、なぜ黒いのでしょう?

木材などが元々黒かった、ろうそくの煙で黒ずんだ、などいわれますが、
黒い色の起源は、東方からやってきたことを意味するようです。

黒マリアさまは、なぜかフランスだけに限って存在しています。
現存する百体あまりの像は、特にマッシフ・サントラルといわれる中央山塊、
ピレネー山脈東部、プロヴァンス地方の山間部など。
南フランスの僻地に集中しています。

その多くの像は、12世紀ごろのものといわれますが、もっと古くから・・・。
ガリアと呼ばれていた古代フランス時代から住み着いていた民族の
土俗的な崇敬の対象や地母神と習合していった姿なのかもしれません。

わたしはマグダラのマリアの伝説を思わずにはいられないのでした。

1世紀、イスラエルから一艘の小舟に乗って、南フランスに漂着したマグダラのマリア。
東方の民だった彼女の肌の色も、褐色だったに違いありません。



黒マリア



黒い聖母像の形態は、驚くほど類似点があります。

単独の立体像であること。
木製であること - 梨や胡桃の木。
中にはフランスにはないヒマラヤ杉で彫られているものがあること。
小さいこと - 体長が50cm 〜80cm 位。
同じポーズであること - 玉座に正面を向いて座り、膝に幼子イエスを抱いていること。

黒い聖母が起こすという奇跡は、日照りが続いた後に雨を降らせるという穀物の豊穣や、
大火を消沈させるという自然現象にかかわること、病気の治癒が伝承に残されています。
そして、もうひとつ特徴的なのは、船乗りの保護と囚人たちの解放だっだそうです。

なぜ、船乗りと囚人?
どちらも「旅する者」という意味らしいです。
囚人というのは、異国で捉えられた旅人のことを指して、
スペインのサラセン人に捉えられたキリスト教徒を開放した、とか、
十字軍に参加して回教徒に捉えられた騎士を開放した奇跡などがあるそうです。

旅する者の守護。
それが黒マリアさまの奇跡のひとつであるようです。


*参考文献: 田中仁彦著「黒マリアの謎」



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黒マリアさまに祈りを捧げていると、声が聞こえてくるようでした。


      あなたを待っていた
      あなたに奇跡をあたえる
      ここに来れなかった人々のために祈りなさい 


わたしも、何年も旅に出られない時期かありました。
誰でもが、いつでも気軽に旅できるわけではありません。
確かにそうだなぁという気がして、ここに来れない人たちのために祈りました。

しかし、「あなたに奇跡をあたえる」 というのは何のことか?
ただの空耳なのだから、全く気にもかけず、特別なこととも思わず、
わたしは祈りを終えて、椅子から立ち上がりました。



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マリアさまの「受胎告知」が描かれたステンドグラス。
ここでは、天使の顔が黒いのに、マリアさまの肌が白いのが不思議でした。
黒いマリアさまと白いマリアさまは、別人なのでしょうか?

もうすでに暮れかかったロカマドールの村へと、
礼拝堂を後にホテルに向かいます。
明日は、朝焼けに輝く聖都が眺められるというロスピタレの町へ、
早起きして行こうと思います。



マグダラ荘2



途中、Relais Madeleine  ルレ・マドレーヌを見つけました。
Relaisは、昔、巡礼者を泊めた旅籠やのことで、Madeleine はマグダラのマリアのこと。

マグダラの名前の付いた宿があるのです。




* ~ * Chaptre4 Continuer 続く * ~*









テーマ:旅行記 - ジャンル:旅行

2015.08.11 | マリア巡礼

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Author:mariaikuko
青山マリアいく子の
「祈りとアートの巡礼記」にご訪問下さりありがとうございます。
導かれるような旅の不思議について書きたいと思いました。
旅で出会った出来事、美しいもの、心の目が見たものを綴っています。
皆さまの旅も、実り豊かなもので
ありますように。

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